タックス・ヘイヴン

一定の課税が著しく軽減、ないしは完全に免除される国や地域のことである。租税回避地(そぜいかいひち)とも呼ばれる。
「ヘイブン」 (haven) は、英語で「避難所」の意である。フランス語では「仏:paradis fiscal」と、「paradis=天国、極楽」という語があてられている。

タックス・ヘイヴンは、小さな島国など産業が発達しない国が、国際物流の拠点となることを促進するために作った制度である。貿易の拠点となれば定期的に寄港する船乗りなどが外貨を消費するため、海洋国家にとっては有利な方法だと考えられてきた。したがってタックス・ヘイヴン税制が適用される業種は、本来は物流セクターであった。

今日のトピックス

現状と課題

国際金融取引を活発化させる目的で一定の減税措置や外国資本企業は登記費用のみで法人税がかからない会社設立方法・通貨決済方法が設けられることは珍しいことではない。そのような意味では、世界最大の実質タックス・ヘイヴンはロンドンのシティ・オブ・ロンドン金融特区であるといわれる。しかし、タックス・ヘイヴンといえば、通常は、英国領ケイマン諸島のような、国際金融取引の単なる中継地として利用されることを想定したような、それ自体は特に見るべき産業のない島国が想定される。しかし、ケイマン諸島の外国資本企業法人税減免システムは実は宗主国英国のシティ・オブ・ロンドンの課税システムをそのままもってきたものである。
一方、現在の国際金融取引においては、租税負担の軽減を目的として、多くの資金がタックス・ヘイヴンを経由して動いており、もはやタックス・ヘイヴンは必要不可欠な存在であると考えられている。その一方で、タックス・ヘイヴンを利用した租税回避スキームに対して各国は、いわゆるタックス・ヘイヴン対策税制を整備してこれに対抗しようとしているものの、根絶にはほど遠い状況である。
また、一部のタックス・ヘイヴンには、本国からの取締りが困難だという点に目を付けた、暴力団やマフィアの資金や第三国からの資金が大量に流入しているといわれている(マネーロンダリング)。2007年からの世界金融危機では、金融取引実態がつかみにくいことが災いし損失額が不明瞭化、状況悪化を助長したとして批判されている。

定義

一元的・明確な定義はない。デラウェア州の法人税制やLLCの税制から判断するとアメリカ合衆国が世界で最も悪質なタックス・ヘイヴンであると唱える者もいたりするほどである。実際、デラウェア州の法人制度や税制は世界中のタックスヘイブンのモデル・手本となっており、それ以前にタックスヘイブンを実現可能な制度・税制は世界に存在しなかったことからも、北米でもっともキャシュフローが巨額なタックスヘイブンは実はアメリカ・デラウェア州である。また、独立国家の制度・税制に他国がとやかく言うのは内政干渉であるという説もあり、タックスヘイブンと呼ぶこと自体が差別的あるいは内政干渉であるという意見も存在する。

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